2013年9月6日金曜日

日本企業の長期成長性にきざす疑念

小生は、投資家としてのセンスは自分でも感心する程に全くといって、ない。古くはDoCoMo株公開時に買い付けた事があるが、株式分割直前で先行き分からないということで売却した。そうしたら2倍だったか、3倍だったかの急騰を演じて、大儲けをやりそこなった。次は、楽天株。やはり注目していたのだが、何せe-Commerce分野の先行きがまだ不透明であった時期、DoCoMo株の逆パターンで大損をするかもしれぬと感じて買うのをやめた。そうしたら、グングンと急成長して買い付けたのは上がった後だった。最近ではソフトバンク。アメリカ進出にも見事成長した。もう買う状況ではなくなった。

カミさんは「うちは、株で儲けると何か変事が起こるから、儲けない方がいいよ」と話しているが、それでも中々一度つっこんだ足は容易にぬけないものだ。

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旧聞に属するが、こんな記事がある。
「リーマン・ショックから5年を経て、世界の株式市場では米国偏重がかつてなく強まった」。大和証券の成瀬順也チーフストラテジストはこう断言する。米ダウ工業株30種平均は2009年3月を底に上昇を続け、今年8月2日には1万5658ドルと再び史上最高値を更新。世界の株式市場で、米国だけが異質の動きをみせている。
(中略)
株式市場が浮き彫りにする「米国のひとり勝ち」の構図。これを支えた大きな要因が、金融史を塗り替えるほどの大規模な金融緩和だ。危機直後の08年11月、米連邦準備理事会(FRB)は証券の買い入れを柱とする「QE1(量的緩和第1弾)」を導入。マネーの大量供給で「早期にデフレの芽を摘み取った」(セゾン投信の瀬下哲雄ポートフォリオマネージャー)ことが奏功し、ダウ平均は09年3月の6547ドルを底に上昇に転じた。
 「米株高を読み解くには、産業革新という視点も欠かせない」(大和の成瀬氏)。アップル、グーグル、アマゾン・ドット・コムは過去5年間でいずれも時価総額を1000億ドル以上増やしている。危機前に隆盛を誇ったウォール街の投資銀行が勢いを失う一方で、米IT(情報技術)企業はイノベーション(技術革新)を矢継ぎ早に積み重ね、気がつけば世界を席巻していた。
(出所)日本経済新聞、2013年8月13日
マクロ経済政策の政策技術が進歩した事は、アメリカ経済学界の貢献が大きいが、もともと新型の金融政策の実験場は日本であった。その日本では、踏み込みが足らずに、成果が十分でなく、新政策はむしろアメリカで花開いたという話しは、何やら航空戦主体の海軍戦略を試行しながら、組織として採用するにはいたらず、大規模に活用したのは米軍であった故事を連想させる。日本の経済学者も欧米で学んで帰国したはずなのだが、個々人の力量もさることながら、若手が進めている新しい考え方までをオープンに動員して活用しようとする国の姿勢。政策当局のスタイルが、どうもアメリカに比べると、保守的にすぎる面がマイナスにきいているように感じる。

そして次に、新しい産業が生まれていること。産業革新である。金融緩和だけではダメなのであって、金融緩和+産業革新がバブル崩壊克服の王道であるという認識が確立しつつある。その産業革新にアメリカが成功している原因の一つに、本当に売れる商品はBtBではなくBtC、というか所詮は玄人好みのニッチ狙いではなく、消費者相手の草の根にアピールしようとする当たり前の事業戦略にあると思うのだ。大体、草の根にアピールするには草の根にいないとダメだろう。日本の組織風土を顧みると、ともすれば法人営業、それも財閥系メガ企業相手がエリート部隊で、地方相手の商売はローカルな下積み部隊として社内でも強い発言力をもたないのではないか?そう言っては極言だろうか?極言でないなら、Facebook、Amazon、Googleに匹敵するような新興企業が育ってほしいものだ。ま、楽天は確かに成功しているが…。

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今年の初め、Amazon株を買い付け、春先には安値に落ちたFacebookを買った。その時点の評価額は日本株が50%を大きく超えていた。その後、日本株は5月下旬にかけて猛烈なスピードで騰がった。なんでアメリカ株などを買ったかと、またまた失敗したか、と思った。しかしながら、9月上旬の現時点、アメリカ株の評価額が日本株を超えようとしている。Facebookは、広告収入の増加があらゆる専門家の予想を超えているので、評価がまったく変わってしまった。Amazonは、長期的な成長軌道に沿って、株価も上昇を続けており、その基調に変化はない。Amazon.comが次々に打ち出している新成長戦略も本筋をついていて、売ってしまうかという気が―蜃気楼のような株価だという専門家もいるのだが―おこらない。

日本株はどうだろう?日立は…、というと確かに昨秋から騰がったが、今以上に日立が世界市場で拡大して、企業として成長するのだろうか?四国電力は…原発再稼働だけが希望だよね。三井物産は…TPPが立ち上がって、うまく貿易拡大に食い込んで行けば、もうちょっと大きな会社になるかな?楽天はどうだ…まあ、日本市場では地位が確立したが、しかしライバルも立ち上がってきているから過当競争になるかもしれぬ。世界では……どうかなあ?

ほんとにもう、上の段落のように日本企業の将来を考えると、… につぐ … なのだ。???と表現してもいいかもしれない。

新興国の経済が低迷気味であるのは、それなりの理由があるが、まだポテンシャルがある。EUの病弊は硬直した制度もそうだが、まずは不良債権、過剰債務を処理すればよいわけで、やることはハッキリしている。日本は90年代の不良債権問題は解決した。過剰債務といっても日本の債務問題は、日本政府が国内の居住者に対してもつ債務問題であって、日本国が世界から借金しているわけではない。つまり浪費体質の変更を求められているわけではない。どうにかなるはずなのだが、「日本企業はこれからも成長するよ」と、そんな風な期待をどうにも持てない。これは確かなのだ。

やはり日本経済は、まるで食い合わせの食材のように<縮小する国内市場+円高懸念>、この二つが未来を暗くしているのだな。何をやっても上の変わらぬ二要因に目が向いてしまうのだ。いっそのことTPP域内では<共通通貨>を採用したらどうなの、と。EUROならぬTAPEA(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)を発足させて、「1タピア」とでも発音すればよいのでは。そんな風に思ってもしまうのだな。

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