2019年12月24日火曜日

一言メモ: 「離婚」&「養育費」と政府はどう向き合えばいいのか?

「離婚」、「養育費」は100パーセント私的な事柄である。この分野に国家権力が指針や法律を定め、命令を発するなどということは(小生の感覚では)絶対にしてほしくないところだ。

ところが……

何と「養育費引き上げ」、というより離婚時の養育費算定の基準を政府が引き上げたというのでワイドショーの話題になっている。

となると、「町の声」に登場するのは養育費を支払われる側(になることの多い)「女性・ひとり親」の経験談ということになる。中には、養育費を支払ってくれない男性は逮捕してほしい…などという声が出てきているのは、小生正直なところ、『これって上方漫才じゃないか』と曲解したくらいだ。

「まさかネ、だって逮捕しちゃったらそれこそ養育費、もらえないじゃないか」と。カミさんは「苦労するのは子供を育てている女の方なのよ、そこ分かってる?」といつものパターンの雑談が進むことになった。

一言で言えば、離婚をきっかけにした「生活破綻」が、個別のケースを超えて、一つの社会問題になってきている。

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もちろん、ここには「結婚とは何か」、「離婚とは何か」、「神前の誓いは何を意味するのか」等々、根源的な倫理的問題が隠れているとはいえる。

がザックリと書いておこう。要するに、安心できる成長環境、安心できる老後の環境などなど、自らが十分な生計費を稼ぐ能力をもたない状況でどうすれば健康で文化的な暮らしを日本社会が保障してあげられるのか、という問題である。

それには、付加価値税(=消費税)10パーセントでは十分な財源が調達できない。選択肢は、欧州型の税率20~25%の社会か、あるいは旧ソ連のように産業国有化を基盤に社会主義社会を構築するかの二択である。日本は実に中途半端なまま過剰な要求を政府に突き付けている。政府に頼るのではなく、出来る限り自立するべきである。そう考える人がまだ多い。政府に頼れば政府の指導に従わなければならなくなる。政府の生活指導などは真っ平御免である。少なくとも、小生を含めた旧世代はそう思ってきたし、今もなおそう思っている人は多かろう。

もし生きていくうえの原理・原則を新しく立て直すというところまで踏み込んでいけば、日本も真に安心の出来る人生を全ての日本人に保障することが出来るはずである。しかし、それには犠牲を伴う。日本社会から失われるものもある。

何事も「一得一失」である。何を諦めて何を獲るかという選択を日本社会がすれば「保障」すること自体は可能だ。そうすれば離婚をきっかけにした生活破綻は防止できる。

しかし、現在の世代構成の下ではこんな未来は実現されそうにない。旧世代の心理の根底には「政府不信」がある。「反体制礼賛」の心情がある。税率引き上げには賛成しないはずだ。と同時に、(論理的矛盾でもあると小生は思うが)社会主義、共産主義を志向するわけでもない(と観ている)。家族、親戚、一族の相互扶助にも旧世代は否定的だ。つまり、核家族主義でロマンティックな「まだまだ元気イズム」の信望者であると年下の小生などはみている。しかし、旧世代はいずれフェードアウトしていく運命だ。

社会哲学、政治哲学の変更は、世代交代のみによって進む。政府サービスの拡大に関して結論が出るまでには、まだ10余年以上の時間が必要だと感じる。現在の日本社会は「国家規模の老害」が蔓延中である。民主主義の下では「待つ」しかない。

というので、客観的観点にたてば、今回の件については判断は実に明快に下せると思う。

この件は前にも何度か投稿した。中でも中心的な論点をあげているのはこの投稿だと思う。

ただ上の投稿でも触れているように、この問題で日本は相当苦労するのではないかと予想している。

一言メモとして今日も残しておきたい。

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以下補足だが、

日本社会が解決しなければならない大問題は少なくとも二つはある。一つは厚労省マター。つまり老後の保障と育児補助。安心して生きていける社会を築くということだ。税制戦略が主たるテーマになるのは必至だ。この問題を解決しない限り、少子化も閉塞感も解消しない。もう一つは経産省マターであるエネルギー問題。先ずは電力需要にどう対応するかということだ。環境重視と口では唱える。再エネを増やしていくと唱える。省エネにも熱心だ。ところが実際の行動では石炭火力を世界に遠慮しながら増設する。節電を求める。いま日本に真面目なエネルギー基本計画はあるのかということである。

出来れば高等教育と研究開発水準の維持に政府は注力してほしい。欲をいえば、皇室の将来と日本(人)の国際化ももう一段レベルアップしてほしい。その道筋をつけられれば、政治としては大成功だ。

それにつけても、「安倍政治」を評価する気に中々なれないのは、憲政史上の最長不倒記録を達成しながらも目前の大問題の何一つも真剣にはとりあげず、深堀りをせず、最後まで難しい政治課題から上手に身をかわしてきた点だ。野党の政治力に小生は何の期待ももっていない。贅沢は言えない。しかし何とも無責任に見える。これでは不戦敗じゃあないか?それとも『負けるマージャンはしない』という戦略であったのだろうか?

現内閣の政治的エネルギーの半分以上は、集団的自衛権の容認と安保法制、特定秘密保護法の制定に費やされた。戦前期・日本でいえば、陸海軍省(と外務省)と内務省が所管する事項だ。やはり現内閣の体質はかなりのタカ派である。

それでもこれだけ長く続いたのは、TPPと対欧州EPAを実現して経済界のバックアップを受け続けられたからだろう。株主利益(=企業利益)に好意的な金融政策も幸いした。「わざわざ水をさす必要はない」と考える経済人は多い。本当は経済学者が頑張る必要があるのだが、現内閣で真に発言力のあるエコノミストは誰一人いないと小生はみている。

離婚と養育費などという話題がTV番組を賑わせている。そろそろタカ派外交(?)だけでは日本社会がもたなくなってきたのかもしれない。

日本の現首相は財界活動ばかりに熱心で、いつの間にか社内がガタガタになってきたことに気がついていない、そんな会長に似ているかもしれない。そういえば、経団連会長を輩出した大企業で同じ主旨の記事を最近どこかで読んだが……。どこだったっけ?東芝だったか?ニッサン?…キャノン?

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