2020年2月19日水曜日

一言メモ: 「大臣記者会見」が増えているが

新型コロナ流行防止に向けて厚労大臣が毎日のようにTV画面に登場している。厚生労働省だけではなく、各省庁の担当業務について記者会見を行うとき大臣が自ら前に立って細かな内容をレクチャーする情景が日常的になっている。こんな情景は小生が小役人をしているときにはなかった。

海外、たとえばアメリカにせよ、中国にせよ、政府機関が記者会見を行う時は「報道官」なる人が登場して、質疑応答までを行っているのが通例だ。米・ホワイトハウスにも国務省にも報道官がいるし、中国・外交部の報道官は日本でもよくTV画面に登場するので有名である。

新コロナ型ウイルスの感染者数の増加について厚生労働大臣が自ら記者に逐一説明するべき必要があるとは小生には思えない。担当局長は民主的手続きによって選ばれてはいないので不適任だというのであれば、たとえば(原則)「政務官」が報道を担当しても問題はないだろう。「激職」にはなるだろうが、省庁全体の業務内容、要注意ポイントを把握するには報道担当業務が最適である。若手国会議員の修行の場にもなるだろう。

大きな政治判断に必要なリソースは、集計されたデータの大きな動きをみる眼力と洞察力である。内訳を確認するような、まるで経理部のような細かな質問に大臣が直接回答する必要はまったくないと小生は思う。政務官が勉強するべき事柄だろう ― 担当局長なら当然頭に入っていることではあるが。そもそも大臣の見解について聞くべきポイントを適切に質問できる能力、及びバックグラウンドたる経験を有しているのは、出先の記者ではなく編集局長クラスではないだろうか。

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