2020年2月9日日曜日

メモ: 「野党合同ヒアリング」は国政調査権を根拠にしているのだろうか?

現行憲法では国会が有する権限が強化されており「国政調査権」もその一つに挙げられている。

その最大の根拠である憲法では
両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。(62条)
こう規定されている。

しかし、国政調査権は「両議院」が有する権限、つまり衆議院、参議院が有する権限であって、「議員」である個々の国会議員の自由裁量で行使できるとは規定されていない。所属する政党なら行使できるとも規定されていない。具体的には、衆議院、参議院のいずれかの意思決定によって国会は行政府(及び司法府にも)に国政調査権を行使することができるという意味であると素直に読めば読み取れる。

小生は憲法、行政法には素人である。

しかし、以下の点が分からないと書いても、大方の人には自然に感じられると思う。

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最近、盛んに実施されている官僚に対する「野党合同ヒアリング」と呼ばれる会議である。国会の時間外に大臣ではなく部下の役人を直接的に招致(?)して質疑応答を行う場であるのだが、最近になってから(以前は聞いたことがなかった)、何かといえば開催されるようになった。これは国会の国政調査権を行使している公的なヒアリングなのだろうか?

国会の中のどの委員会でもよい。委員会の決定として国政調査権を行使することは、委員会の決定が即ち「議院の意思」であると拡大解釈すれば、出来る理屈だと思う。しかし、国会の状況は与党が多数派であり、野党が少数派である。であるから、「野党合同ヒアリング」と称して野党の諸政党が国政調査権を行使できるというのは、小生、理解できない。野党のみの意思がなぜ議院の意思たりうるのか?理にかなわないのではないか。

米議会でも下院は民主党が多数であるので大統領弾劾訴追が決議された。しかし、上院は共和党が多数を占めるので弾劾は否決された。個々の議員に大統領弾劾に賛同する人々がいるということと、議院の意思決定とは別々の事柄である。議院の意思は裁決によって全体意思として定まる。

「野党合同ヒアリング」は法的に正当な手続きを経て実行されている行為なのだろうか?
「野党合同ヒアリング」はいずれかの委員会で採決されて実施されているのだろうか?
裁決されていないならば、議院の意思ではなく、国政調査権の行使には該当しないのではないか?

 出席する行政府の官僚には税金から俸給が支払われている。官僚の出席には機会費用としてコストが生じている。正当な法的根拠のない税金の支出は認められない理屈だ。

「野党合同ヒアリング」については分からないことが多い。

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