2020年11月23日月曜日

一言メモ: 「GOTO」見直しのあきれ果てたロジック

政府が旗を振ってきた「GOTOトラベル」、「GOTOイート」の両方とも、新型コロナの感染拡大を抑制するため「見直し」をすることに決まった。

TVのワイドショーなども歓迎しているから、小生心から驚き入っている次第だ、というと又々小生の偏屈振りが際立ってしまいそうだ。

GOTO見直しは、全然、理屈が通っていない。

何故なら、GOTOトラベルもGOTOイートも経済対策として実行しているものであり、「経済政策」である。

経済政策を停止することを以て、感染防止対策としたわけである。

経済対策はしなくてもいいんですか?感染防止対策は何をするんですか?経済対策を停止することが感染防止になるということですが、効果はどれだけ期待できるんですか?プラスとマイナスを合計して、本当に状況は改善されるんですか?

疑問はつきない。非常に非論理的な政策選択をしたものだ。

『やるな、やるな』の大合唱に押されて、政府は「経済もコロナも手をしばられて策なし」という状態になった。「こりゃあ、菅さん、文字どおりの雪隠詰めじゃのう、あとは運を天に任せるか」とつぶやくご老人がいてもおかしくはない。『感染がどうなるかは神のみぞ知る』と分科会会長もおっしゃっている位だからネエ、と小生はいま思っている。

理屈で言えば、政府は経済政策と併せて強力な感染防止政策をも実行するべきであったのだ。


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新型コロナの「脅威」が明らかになってきたとき、日本のマスメディアでは『イタリアのようにはならない、日本の病床数は世界に冠たるレベルにある。イタリアのように財政再建のために病院を削減するという愚かなこともしていない、云々』などと、日本礼賛論をエラク展開していたものだ。

ところが、昨年時点の資料だが、以下の様なデータがある。

まず病床数。

次に、医師の数。

URL: https://www.jmari.med.or.jp/download/RE077.pdf

急性感染症向けの病床数でもないし、医師も感染対応ができる診療科の医師ではない。それでも、日本では病床数には余裕があるかもしれないが、医師が足りないという状況があるのではないか?そんな問いかけは全くの素人でもできるわけである。

足元で、医師会の会長が『ベッドだけあっても駄目なんです。重症になれば人数を割かれますから医療崩壊が起こりうるんです』と、そう訴えているのも日本の医療の実態があるのだと推測される。

欧米で発生している新型コロナ感染者数はゼロが一つも二つも多い。それでも医療関係者は総動員体制で何とかしのいでいる。日本は患者が増えたと言っても、欧米の何分の1かである。それでも医療崩壊が近いという危機感が高まっている。

日本の組織はどこでも官民問わずマンパワーの余裕がないのである。この「余裕がない」というのは実に日本的な状況である。医療分野もまたそうであったわけだ。

実態がそうなのであれば『日本はイタリアのようにはならない』などと豪語はせず、感染者数を極力抑えるということを感染対策の第1目標として、そのために最も効果的な公衆衛生政策を実行しなければならない。そんなロジックになるはずだ。

ところが、この期に及んで、『感染者数増加を抑える』ためにどのような衛生政策を実行するのかがまったく公表されていない。誠におそまつだ。『クラスター対策でやってきた』ということなのだろうが、それでも感染を制御できていないし、現実に新記録を更新中だ。感染対策強化の方針は一切でてはいない。

すぐ経済対策を止めてください。それが公衆衛生政策になりますから。以上。

と本気で考えているなら、日本の厚生労働省には「作戦立案能力」がない、つまり無能である証しだろう。

公衆衛生政策担当の「参謀」(が誰であるかも不明だが)を変えた方がよいと思う。

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