新型コロナウイルスで世界経済は文字通り「滅茶苦茶」と語る人々が、特にメディア業界には目立って多く、「経済崩壊の下の株価高騰は理屈に合わず、いずれクラッシュする」と、そんな風な語り口が耳には入るのだが、小生には「それはちょっと少し違うんじゃないのかネエ」と思われる。
例えば、世界景気の先行指標として有用な銅価格だが、LMEの取引価格(3カ月先物)を確認すると、以下のようになっている。
足元では既に2018年初夏の頃の高値に戻っている。その後の下落を経て今回の底値は本年の春から夏にかけての時期につけている。確かに新型コロナのパンデミックによる暴落がグラフからは明瞭に認められるが、その後の回復は極めて順調である。
もちろん個々の商品ごとに細かな変動の違いはあるが、アルミも鉄鉱石も概ね同じである。石油価格は低迷しているが、これは「脱炭素化」の大きな潮流が背景になっている。
もともと日本経済は2018年10月が「景気の山」であったと公式に認定されている。別に公式認定を待たずとも、毎月内閣府が公表する「景気動向指数」を観ていれば2018年の年末近く、あるいは2019年の初頭にかけて景気はピークアウトしていたことは周知の事実であった。ならば、平均的な景気後退期間は1年半程度であるから、予測としては本年2020年の初夏にかけて景気のボトムアウトが確認されるのではないかと考えられていたわけだ。日本経済は世界経済の中で動いているから、日本のデータで予測した方向性は世界経済を見通すうえでもそれなりの有効性をもつ。
そういえば、中国が元建ての銅先物取引市場を開設する計画だという。それが実現して、その取引市場が成長するという事態になれば、アジアでは市況商品を元建てで取引するようになるので、日本も中国経済圏に入って(米側視点にたてば、取り込まれて?)いくことになろう。
いま「自粛をするか、経済をとるか」で不毛、かつ迷惑な激論が連日TV画面で展開されている。これをみると、小生は昔の「一億総白痴化」という言葉を思い出してしまう。政治までもそんな混とんとした「言論カオス」に埋没してしまう。TVも新聞も週刊誌も、日本のメディア業界がサプライしている情報は、世界のリアリティとはほとんど関係のない内容になっている。
Yellow Journalismならいざ知らず、(大国ではない小国であるのに)トップレベルのメディア各社の大半までもが(どこもかしこも)今のようなレベルのメディア事業をしていて「恥ずかしい」と思わないのは、やはり大多数が《日本語だけ》で書いたり読んだり視たりしている、メディア企業と視聴者・読者とのそんな関係性がある、一言でいえば日本のメディア市場が閉鎖的である、だからじゃないか ― マア、TV&ネットと新聞とでレベル差があるのはまだ事実だが。その意味では、《ハングルだけ》で書いたり読んだり視たりしている韓国のメディア企業と韓国内顧客層を結ぶ関係性と経営環境としてはどこか似ている……
「気を悪くしないで下さいヨ、でもそんな気がするんですけどねネエ……」ということで今日はメモしておこう。
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