2020年12月1日火曜日

素朴な疑問: いまは「平時」ではない、これ間違ってますか?

 ワクチン接種が視野に入ってきたせいか、テレビ局の話題も「ワクチンは接種するほうがよいか、待つ方がよいか?」という正にワイドショー好みの話しに移ってきた。来年の春が過ぎるころには、日本にもファイザーやモデルナ、アストラゼネカのワクチンが届いて、優先順に接種が始まるだろう。ところが、その頃にはその頃で

A: 重篤な副反応は出てはいないようです。

B: 出てないことは、これからも出ないことの証明ではないですよね、「1千万人に3人出る」わけではないかもしれないけれど、「1億人に3人出る」かもしれませんから。生死にかかわる問題かもしれません。ワクチン接種をしなければ生きられたのに、接種したことが原因になって命を落とせば大惨事です。

A: おっしゃることは分かります。でも、それじゃあ日本では当分ワクチンは打てないってことになりませんか?

こんなやりとりがどこかの番組でかわされるような気がする。

★ ★ ★

世間の議論は本筋を外してばかりいるので理解困難なことが多い。

この点は最近何回か投稿した。まとめておいて今後の便としたい。

11月25日投稿

11月23日投稿

11月21日投稿

11月19日投稿


「GOTOトラベル」は、文字通り「GOTOトラブル」になってしまったようで、いまでは来年の黄金週間まで全面ストップするのがよいという話も出て来ているから驚きだ。

この発想が小生の思考回路にはそもそも入って来ないのだ、な。「おかしいなあ」と感じてしまう。

そもそも「GOTOキャンペーン」は平時なら実行しないであろう「緊急経済対策」だ。ターゲットとなる業種を限定して資金を集中投下するという政策は、1990代のバブル崩壊期に経営が不安定化した金融部門に公的資金を集中投下して以来の事であろう。その時も問題発生から資金投下の意思決定までの遅れが問題を深刻化させ、そのため国民の負担を増やしてしまった。今回、公的資金注入のような反発が広がらなかったのは、観光関連企業に直接的に資金を注入するのではなく、旅行をする費用を補助するという手法をとったからであって、国民も広くその公的資金の恩恵に与れたからにほかならない。簡単にいえば、国民にとっても有難かったのである。

経済対策は必要性があって実施されるものである。そして、GOTOキャンペーンには確かに効果があった。それは経済データから明らかだ。もし実行しなければ今年度上半期を越せない企業がもっと増えていたに違いない。

感染者増加はGOTOキャンペーンの《副作用》である。その副作用は確認されるより前に予想されていたことである。故に、政府としては経済対策の副作用を抑える感染対策を並行実施するべきであった。こんな理屈になる。

「平時」には実行されないタイプの経済対策を「緊急」に実行するなら、感染拡大という副作用を抑えるために「平時」には実施しない感染対策を「緊急」に実行するべきであったろう。これが基本的な理屈だ。

そのような強力な感染防止対策が「緊急」に実施されていただろうか? 寡聞にして聞いたことがない。TVからも新聞からも、一切、報道はされていなかった。

政府は360度、あらゆる問題に目を向けながら、政策を進めなければならない。

GOTOキャンペーンは「経済対策」として結果を出した。政策は成功したのである。

その副作用を抑えきれずに再び経済活動自粛へと向かう流れになったのは政府の失敗である。

どこで失敗したのか?

失敗をしたのは経済対策ではない。その副作用を抑えられなかった感染対策である。

経済対策は副作用を怖れずに断行されたが、感染対策はより厳しい措置をとることの副作用を怖れ、一歩踏み込んだ感染対策を実行できずにいるのだ。

これでは両輪がそろわず結果は出ない。

★ ★ ★

効果的な感染対策を公衆衛生当局が立案できない状態が続くとする。

そんな状況が続く限り、経済対策を立案しても実行は困難になるだろう。マクロでみれば「経済活動」の拡大はヒトとヒトとの接触を増やすものであるから、効果的な感染対策で手当てしなければ感染者は必ず増えるだろうからだ。

経済活動は人々の暮らしそのものであるから、たとえ感染者がゼロになるとしても、経済が底を割って崩壊すれば日本の社会そのものが崩壊するのである。

経済よりも人の命が大事です!?

テレビ画面からこんな見栄をきるコメンテーターが登場するたびに小生はその呑気な無責任ぶりに失笑する、とともに、暗然、愕然、慄然の「三つのゼン」を感じてしまうのだ、な。

『30日以内にゼロベースに戻ってより強力かつ効率的な感染抑え込み戦略を立案せよ。それができない場合には更迭する』と、まあこんなやりとりが政府の最上層部であったかどうかは全く知らない。が、あってもよい状況になってきた感じはする。


0 件のコメント: