2021年5月29日土曜日

一言メモ: リスクに対して社会がとるべき姿の一例では

アメリカ版のYahoo! Financeに以下の投稿がある:

Moderna scientists and executives laid out their plans to combat new strains of the virus that causes Covid-19 at a virtual investor event on Thursday, saying that new waves of the epidemic are on their way.

“As the virus spreads, it is rapidly mutating,” the company’s chief scientific officer, Melissa Moore, said on the call. “Some of these new viral strains appear to be even more transmissible than the original strain… We already know that some of these new strains are less susceptible to neutralization by our current vaccine.”

The company said that it tests new variants in the lab against its vaccines, and is “constantly” making and testing new versions of its vaccine. But it warned that the process is not instantaneous, and that the company’s agility is limited by the complexity of the work.

“The shortest time from the detection of a variant of concern to preclinical immunogenicity readout against a panel of pseudoviruses is approximately 2 to 3 months,” said Guillaume Stewat-Jones, a Moderna (ticker: MRNA) scientist who works as associate director of antigen design and selection on their infectious disease team. “And new viral variants are coming — emerging constantly in real time.”

Source: Yahoo! Finance, Barron's,  9:03 am ET / Original May 28, 2021 8:17 am ET

つまり

new waves of the epidemic are on their way.

 次の感染波が近づきつつある

一応は既存のワクチンでCOVID19の蔓延を押さえ込めたアメリカ・モデルナ社の開発担当者が、『次の波がやって来る 』と発言しているわけだ。

ワクチン開発企業における責任者であるとはいえ、民間企業の従業員であって、政府機関に所属しているわけでもない。投資家との交流の場で発言したということだ。日本人なら「社会的責任」を五月蠅く指摘しているに違いない — 指摘したからといって、責任を真に理解しているわけでもないだろうが。

では、社会的責任を五月蠅くいう日本社会の方が、アメリカ社会に比べて、より機能的に、より公正に、よりオープンに、運営されているだろうか?

どうやら問題意識の強さと、問題を実際に解決しているかということは、あまり関連していないようである。


ウイルス感染の拡大期に多種多様な変異種が生まれることは最初から予想されている。中には、危険性も感染性も従来株をはるかに超える変異種が生まれる可能性もある。というか、現に危険な変異種である英国株やインド株の感染が拡大しつつある。

ワクチン接種が浸透したアメリカでも、このように次なる変異種を予想し、それに対応するワクチン開発体制をオープンにする一方で、ヴァージョン・アップされたワクチンが製品化されるまでには2,3か月を要する、と。新ワクチンが登場するまでに「ワクチン空白期」がありうる、と。

感染拡大波の次の襲来をこのように警告しているのは、ワクチン開発企業としては適切な警告、というより情報提供であって、どこかの国で想像されるような『来てもいない危険をことさらに予想して、いたずらに社会的不安を煽る発言はするべきではない』などという低レベルの《ベキ論》、そんな「ベキ論」を支持するような政治的抑圧にさらされてしまうという、「つまらぬ心配」から無縁である点は、実に羨むべき状況だと思う。

ずいぶん昔にヒットしたドラマであったが、《となりの芝生》を思い出した。


何かにつけて『日本は周回遅れ』であると言われる。小生の日常経験でもそんな感覚を覚えることは多い。が、一方で日本ならではの「居心地の良さ」を感じることも多い。

この20年、「長所を生かせ」が強調されていたが、前にも投稿したが

長所は短所の表側である。長所の裏側には短所がある。長所と短所は表裏一体だ。

そう思っている。なので、「長所を生かして、短所をなおせ』というアドバイスには反対である。短所をなおせば、長所もなくなる。長所を生かせば、短所が現れるのだ。そう思っている。

ちなみに、<長所 短所>をキーワードにして本ブログ内検索をかけてみると、結構、複数の投稿が出てきた。ドンピシャリ合致するのは、個人名が出てくるので、ここでは引用せず、こちらを挙げておきたい。《官僚システムの長所と短所》は、日本とイギリスと、国は違っても同じだなあと改めて腑に落ちるのだ、な。

だから、たった一つ選べる道は

長所を生かしながら、短所を自覚する。

こういうことしかないのではないかと思っているし、このことは、企業にも、社会にも言えるような気がする。

丁寧に取り組む傾向は確かに日本人の多くの美徳であるが、

丁寧であるが故の欠点、より丁寧であるが故により大きくなる問題点

つまり、長所の裏側をも同時に客観的に認識し、自覚しておくことが重要であるわけだ。



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