2022年2月5日土曜日

ホンノ一言: 「医療逼迫動向指数」を作成すればよいだけのことではないのか?

マクロ経済の動向を数字で把握するのは中々難しい問題である。実質GDPの季調済前期比をみて判断すれば最も正しいというわけではない。それに「景況感」というのは、業種ごとに、企業規模ごとに、また個別企業ごとに異なる主観的なものである。だから、日銀の「短観」では業況判断DIが作成されているし、先行系列・一致系列・遅行系列から複数の数値データをとって総合した内閣府「景気動向指数」が公表されてもいるわけだ。景気判断は優に100系列を超える経済データを総合して判断するしかないものなのである。

コロナ感染状況の把握、医療の現状把握も同じだ。

いま政府と東京都の「重症患者数」の定義が異なるというので混乱していると伝えられている。まったく、この程度のことで「混乱」などしているようでは、雑多な情報が多数混在する経済分析などは複雑怪奇でやっていられないだろう。

困ったことがあれば、「困った」を言わず、「混乱」などはせず、ただどうすればイイのかを考えればよいだけだ。要するに「役に立つものがあればいいンでしょう」と。そういう話しである。「国が正しいか、都が正しいか」という井戸端会議は、好きな人が好きな場所で好きなだけオシャベリをしていればよい事柄である。オシャベリに実害はない。ただ工夫なき混乱には実害がある。


簡単な話しを覚え書きとして記しておきたい:

例えば医療の供給側でボトルネックが都内でどの程度生じているかを把握したいなら、東京都内の主要病院、更に(感染症患者を受け入れている)個別クリニック、あるいは施設運営者個々人に対して「ヒアリング」を行えば情報がすぐに採れるだろう。

病床に不足を感じているか?

人出不足を感じているか?

医薬品に不足を感じているか?

検査に制約を感じているか?

重症だと診断している患者が過剰だと思うか? 

軽症だと診断する入院患者が過剰だと思うか? 

等々

これらの点について質問したうえで、最後に

貴院において医療逼迫をどの程度まで認識しているか(5段階評価)?

こんな《聴き取り調査》を行えば現場の実態がある程度は把握できる。

そして、全回答数のうち「とても逼迫している」と回答した標本数がどの程度の割合であるかを《医療逼迫動向指数》として日次、週次あるいは月次で作成すれば役に立つ情報になるだろう。 標本数が多ければセグメントごとに集計することも出来る。折れ線グラフで視覚化すれば特に政治家には受けがイイに違いない。


ちょうど景気動向を把握するための情報の一つに「景気ウォッチャー調査」があるようなものだ。

医療を提供する側だけでなく、医療を受ける側、つまり病院・医院で診察を受けるために訪れる人たちにも「医療逼迫に関するウォッチャー調査」を行えば、もっと有用なデータになるだろう。

この調査に大してコストはかかるまい。


コロナ禍が始まって2年にもなるのに、なぜこの種の数値を試みにでも作ってみないのか?

作らずに「混乱」している。小生は不思議でならない。


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