2011年11月16日水曜日

年末年始までの景気の足取り

夏場の日本の実質GDPは瞬間的には回復への動きを見せたが、10月以降、年末年始までの景気を見通すと決して明るくはない。そもそもアメリカの財政緊縮への転換は、早々に打ち出されていたのだから、今年後半のグローバル経済がある程度失速することは、予想はできていたことだ。

OECDのComposite Leading Indecatorをみても、既に中国、インド、ブラジルは景気後退が明瞭であり、欧州もピークアウトしていることが明らかだ。アメリカも今後どの程度まで沈むかという段階だが、アメリカはまだ第三次量的緩和(QE3)という手が残されている。そんな中の日本だが、確かに震災復興特需に期待できるとはいうものの、日本は世界景気に非常に敏感である。輸出入とも海外景気の落ち込みで低下し、運用先を求めて日本円に資金が集まるとさらなる円高もありうる。日本の生産活動も今後順調に拡大していくとは思えない。

2012年は<景気調整>で年が明けるだろう。

本日の日経をみると、ヨーロッパの景気後退は3つの政策ミスが招いたと記されている。

  1. 金融不安があるにもかかわらず、インフレを懸念したECBが7月に金利を引き上げた。
  2. 域内銀行の経営健全化の名のもとに、自己資本比率規制を強化した。これが貸し渋りをうむ。
  3. ギリシア危機への対応に手間取り、当局への信頼に傷がついたこと。

3は、EUという組織の限界が反映したものと考えられるが、1と2は何故にこんな判断をしてしまったのか?不思議である。経済学を勉強した人が欧州にはいないのか?思わず、そう言いたくなるくらいだ。ま、生身の人間の命を預かる医師と、メカニズムの理解が脆弱な経済学者の違いといえば、身も蓋もないが、2011年夏の判断ミスが<欧州の敗着>にならなければよいがと思うばかりだ。

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