2019年7月1日月曜日

一言メモ: ト大統領の「日米安保廃棄」言及の裏は?

世間ではトランプ大統領が「日米安保条約廃棄」を発言したというので『これをどう議論すればいいのだろう?』という感じで実に心もとない。

文字通りの「廃棄」、つまりアメリカとの同盟を解消するなら国内の米基地を日本が提供する義務もないことになるので、例えば沖縄などは「がら空き」状態になる。それを放置するのは中国(必ずしもそうとは限らないが)に攻撃への誘因を与えるので、結局、日本が自国で国防を引き受けなければならない。こんな単純な見通しになる。更に、丸腰では周辺の超大国の恫喝に対処できないことを考慮すると核武装の必要を認める段階に追い込まれ、そうなると「戦力」の不保持を定めた現行憲法との矛盾はどう解釈しようと覆い難くなる。故に、「日米安保廃棄=核武装=憲法改正」を必然的論理として認めざるを得ない。こんなロジックになるのだと思われる。

その上で米国は日本と軍事同盟を締結するのが経済的にも実践的にも得であろうと発想するとすれば、まあ、そんな思考も人によってはありうるかも、と。そう思われてくる。これがどんな更なる展開を導くか、予想するだに恐ろしいが。

最初はアメリカの選択だが、それによって引き起こされる行動は日本のリアクションである。つまり、現在の日本国の基盤はアメリカの世界戦略の上にある ― まあ、そうでない西側諸国がどこにあるかを逆に問いたいところだが。

しかし翻ってみると、上のような展開は安倍現政権にとっては寧ろ望むところではないだろうか?安倍総理ではなく米国の大統領の発言が契機になって日本で国防論が盛んになる。誰の発言であるにせよ、こんな状況は安倍現政権がそうなることを望んでも国民に反発されるばかりでこれまで為しえなかったことではないのか。

なので、ト大統領の「日米安保廃棄」は安倍首相への「トランプ流応援演説」だと小生には思える ― 巷にはイランによるタンカー攻撃でアメリカの見方に日本が同調しなかったことへの報復ではないか、そんなことを語っている向きもあるが、根拠もなく同調するような浮薄な国家は米国にとっても価値は低いはずである。

0 件のコメント: