2019年6月30日日曜日

一言感想: G20をみて安倍内閣と高橋長期道政を思い出す

無事"G20 Osaka"も終了してメディアでは色々な報道をしているようだ。が、大した事は何も決まらなかったし、何も特段とりたてて発表されたわけでもなかった。無事、ホスト役を努めおわった。そんなところではないだろうか。

そういえば安倍内閣も発足してもう7年弱になるか…かなりな長期政権になったが、時間がたった後、どのように評価されるのだろう?

言葉の選択に困るのだが、北海道で暮らしている小生には安倍首相と高橋前道知事とはどことなくスタイルが重なって見えるのだ。

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高橋前道知事も16年間の長期政権だった。堅実な行政を重ね、批判にさらされる局面もなかったと記憶しているが、一方では泊原発が停止したまま道内のエネルギー需給をどうするか、特に原発再稼働をどうするのかについては明確な姿勢を示さずじまいだった。それと道内の公共交通体系だ。行き詰ったJR北海道をどのように経営支援するのかというのは大きな政治課題だが、この問題解決も曖昧にしたまま任期を終えた。大過なく、というか着実に仕事を全うしたが、大きな政治課題を後任者に遺した。そんな印象をどうしても受けてしまうのだ。

安倍総理も(メディア好みの)不祥事は幾つか発生させたものの、特に大きな失政を犯したわけではない(と思う)。何と言っても、米国が抜けたあとにTPPを残り11カ国で締結にまでもっていくのに大きな貢献をした。欧州とも「日EU経済連携協定(EPA)」を締結するところまで持っていった。この二つだけでもレガシーに値する(と思う)。加えて、「共謀罪の新設」、「集団的自衛権行使に向けた憲法解釈変更」、それに「特定秘密保護法」がある。リベラル派には不評だが、やはり為すべきことを為したという評価もあり得るほどの結果である。

とはいえ、「税と社会保障との一体改革」を骨抜きにして消費税率引き上げもこの10月にやっと10パーセントというのは到底誉められたものではないだろう。年金システムを筆頭とする社会保障制度全体を「人生100年時代」にふさわしいものに改革するという大問題は全て後回しになっている。

「エネルギー政策」もそうである。原発をそもそもどう位置づけるのかが曖昧なままである。事実がさきに進んでいて再エネ比率がずいぶん向上してきているが、ではベースロード電源は原発にするという計画のままでよいのかどうか。ハッキリしない。

「移民政策」も人手不足時代の中で現実的必要に迫られてとりあえず法環境を整備したが(整備と言えるのかどうかも不明だが)、基本計画のようなものはない。何より「少子化」をどう問題解決するのか。長期プランのようなものはない。「働き方改革」とはいうが、現行制度を変えるというのは明確だが、変えることによって将来的にどのような日本社会を構築したいのか。そんなビジョンが具体的かつ総合的に提示されているわけではない。

ずっと昔には「経済審議会」があって、そこで日本全体の「総合計画」が定期的にまとめられていたのだが、現在は毎年の夏、予算編成に使うための「骨太の方針」が作成されるだけだ。以前の「総合計画」に比較すれば、毎年の「骨太の方針」などは本当は「来年度予算の基本方針」という程度の無機的なタイトルをつけられてもよい程度の資料だと小生は感じてしまう。

日露間の外交課題、つまり北方領土については進展がない。日中間については中国の外交戦略がたまたま対日融和に振れてきているだけである。日韓関係も周知のとおり。

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このように列挙すると、確かに幾つかの大きな成果はあるが、巨大でリスキーな政治課題には着手せず、具体的で成果が見通せる問題に答えを出してきた、と。どうもそんな印象である。

『7年間弱も時間があったのなら7年は時間をかけないと解決できない大課題に取り組めばよかったのに』と、そんな意地悪なことも言いたくなる。どうも安倍長期政権ではあったが、大きな政治課題は後任者に遺してしまいそうだ。高橋前道知事の16年間の治世も『16年も時間があったから大きな課題も解決できたんですよネ』と、そんな風にはどうも思われない。小生だけかもしれないが、安倍長期内閣と高橋長期道政と、どことなくスタイルが似ているなあ、と。長い政権ではあるが、1年1年を合計して長くなったのであって、長い時間が最初から必要だったわけではない。長い時間が必要な課題に取り組んだわけではない。そう感じるのだがおかしいだろうか?




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