2020年7月13日月曜日

低レベルの担当者は素人の質問を怖がるものである

ワイドショーは「専門家」がコメンテーターになっているとはいうが、所詮は最前線にはたっておらず、暇でTV出演が出来る人物が登場するわけだから、マア要するに「井戸端会議」の域を出ないのは最初からわかっていることだ。

そして、本物の「専門家」であれば、素人、部外者の素朴な質問に対して、それがどんな質問であっても明解に解答できなければ、「専門家」としては力量不足である誹りを免れない。

このところの新型コロナ感染再拡大でもそうである。たしかに「テレビ解説」は、現場の専門家の特別出演を別とすれば、いかに「専門家が解説します」と自称していてもその門外漢ぶりは明らかである。小生の専門分野である経済問題、景気問題などでも、ハッキリと「それは逆、勘違いです」と画面に向かって言いたくなる時は、定期試験を採点しているとき、他分野からの新参者と雑談している時のように、それこそ山ほどある。どんなテーマでも、専門外の事は小生には分からないが、素人向けのマスコミ解説というのは似たようなレベルになっているに違いない。とはいえ、予備知識のない人が日常の経験に基づいて、道理の通った質問を専門家にぶつけてくることも、これまたママある。

この辺の事情は、物理、化学、生物などの自然科学だけではなく、問題が複雑な法律問題、経済問題でも同じである。学生はどんな質問をしてくるか分からない。学会ではどんな質問が発表後に寄せられるか分からない。曖昧な応答は、オーディエンスの失笑をかい、専門家としては「おしまい」を意味する。素人の人が素朴に発する疑問というのは、実は本質をつく質問であることが多い。これが実は専門家にとっては非常に怖いのだ、な。

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朝のワイドショーでは、「これは明らかに第2波です、私はそう呼びたいです」と。

カミさん: これでも政府は「第2波」とは考えてないんでしょ? 
小生: サッパリ考えてないんだろうね。もし考えていれば、「GOTOキャンペーン」と、何かの感染予防策との合わせ技になるはずだからネ。 
カミさん: なんだかWHOの事務局長みたいだネ。最初は、これはパンデミックではありません。軽々しくパンデミックという言葉を使ってはいけないって言ってたよネエ。 
小生: そうそう。ヨーロッパで感染者が爆発的に増えてきたときになって、これはパンデミックと呼ばざるを得ないってネ。そんなこたあ、みんな分かってらあ。あれはホント、オトボケだったネエ。世界の失笑をかっちまったヨ。『あれでいいなら、ワタシでもWHOの局長、出来ますよ』なんて人もTVに登場してたっけ。
カミさん: 前に、火事に例えた話ししてたよね。 
小生: ああ、見回りをしている消防隊の若い人が或る家の裏でちょっとした煙がたっているのを見つけて、『先輩、あれ、危険ですよ』。先輩は『なんだ、ありゃあボヤ未満だ』。『いや火も見えますね』、・・・『火事になるんじゃないですか』。それでも先輩、『火事なんて軽々しく口にするんじゃない!』。『あれ、塀に燃え広がってきました』、『気を付けたほうがいいな、家の人はいないのかな』、『あっ、母屋から火が見えてきました。燃えてますよ』、『これは火事だと言わずばならんな』。こんな話だったネ。 

ワイドショーのコメンテーターは『GOTOキャンペーンって、GOTOだから、旅行に行けって言っているわけですよね。コロナが市中感染している東京の人にも「旅行に行け」って、そういうことですヨ。しかも、東京から他県に旅行に行ったら、お金もあげましょう。税金から払いましょう。って、これはないでしょうと私は思うんですヨ。まず検査を拡大して、安心できる状況を作っておいてから、「さあ、安心して旅行に出かけてください」、順番はこうでしょう』と、こんな風なコメントを述べていた。素人でも理屈の通っている質問に応じるのは、案外、専門家は嫌がるものである。

いま「GOTOキャンペーン」で首都圏から全国への旅行を奨励するというのは、感染予防には逆行している、全国にウイルスをばらまくことになりませんか?

確かに、これは素人の疑問である。素朴な疑問であるが、政府は「専門家」の意見に基づいて、明解に解答する必要があるだろう。

無応答が無責任を示唆するのは"Responsibility"の語源からも分かることだ。応答は、アクションとコミュニケーションが二本の柱だ。応答が弱いなら、それはアクションの不十分とコミュニケーションの不十分とがミックスされたものだ。アクションとコミュニケーションの間にメディアが介在するからダメだという一面もある。二つを直結するのはデータしかない。

コロナに関しては《Open Data》を徹底するのが誠意の証明になる。しかし、政府のデータポータルサイトDATA.GO.JP(https://www.data.go.jp/)には、今日現在で「新型コロナ関連データ」のリンクボタンひとつない。「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」のボタン文字が古びてボロボロになった のぼり のように残っているだけだ。

これじゃあネエ・・・と一抹の悲哀を感じるのは小生だけではあるまい。

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感染者が混じっているかもしれないときに、首都圏の人を旅行で受け入れる側こそ、ハイリスクである。

ハイリスクであれば、リスク・プレミアムを上乗せして、宿泊料金を引き上げるのが経済のロジックに適う。

その価格引き上げ差額を原資にして受け入れ側において《臨時PCR検査料金》を割り引いてあげるとすれば、これも経済のロジックに沿ったやり方だ。

いわば《損害保険サービス付きGOTOキャンペーン》である。これなら現在の状況にマッチする。ま、商品として買う人がいるかどうかは分からないが、行政の誠実さは伝わる。

ともかく、今回の「とにかくGOTOキャンペーン」は、時間不足のせいか相当の「生煮え」である。



・・・どうやら、次回の内閣支持率はまたまた下がりそうである。

安倍政権シンパの人々は「やってもやっても評価してくれない」とぼやいていると漏れ伝えられているが、評価してくれていないなら、それはそれだけの理由があるように思われる。




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