確かに、株価は景気に対して先行性がある。景気拡大が続いている中でピークアウト感が出て来れば投資家は利益減少、配当減額を予想して早めにリスク回避をする。保有株式を高値で売り抜けようと図る。そして安全な債券へとシフトしようとする。すると、現実に株価は下がる。だから株価低下はリセッションの前兆である。
それは分かる。
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しかし、NY株式市場は昨年春からもうずっとそんな迷走を続けている。FRBは景気拡大を伝えるデータが一つ出るごとに金利を上げ続けている。故に、リセッションの懸念もずっと続いている。それでもアメリカ経済はリセッションに入らない。
景気がいいのは良いことではないか。景気の腰はそれほど強いのである。
しかし、投資家はFRBが景気を後退させようと意図している、と。そう受け止めているので、明るい指標が出るたびに「また金利を上げるのじゃないか?一体、いつまで上げるのだ?」と驚き、かつ訝しみ、景気後退を予想して株価が下がる。そんな奇妙なゲームが1年近く続いている。
最近では、だから、明るいデータが出ると株価が下がり、暗いデータが出ると株価が上がる。普通の理屈では、あり得ない株価になっている。
昨日も、アメリカ景気の明るさを告げるデータが相次いだので、NYの株価は急落した!?
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昨年、こんな投稿をしている。1970年代のアメリカ経済を苦しめた<大インフレーション>を退治したヴォルカー・ショックについての投稿だった。そこでも使ったグラフはこれだ。
第12代連邦準備制度理事会(FRB)議長ポール・ボルカー(Paul Adolph Volcker, Jr.)の、1970年代の米国におけるスタグフレーションを終わらせたるための1979年の新金融調節方式の採用による金融引き締め政策の断行に伴う景気後退のことで、高金利政策により、3年間でインフレ率は12パーセント以上も減少し、4パーセントを下回りスタグフレーションを終わらせることはできたが、それと引き換えにGDPは3パーセント以上減少し、産業稼働率は60パーセントに低下、失業率は11パーセントに跳ね上がった。1982年後半、3年続けた金融引き締め政策を断念し、緩和を実施し、これによって米国経済は活気を取り戻し、GDP・産業稼働率は向上し、失業率は低下した。
実に、空前の高金利政策と経済活動の大きな犠牲を伴ったのが1970年代インフレの抑え込みであったわけだ。ところが、上図で見る通り、S&P株価指数は(いま見ると「驚き」に値するが)急落していない。そして、引き締めから緩和へと移った1982年以降は株価の上昇トレンドが戻っている。
それに対して、足元のNY市場では
こんなデータが出てきた以上、今はまぎれもなく《リセッション》じゃ!
ンなこと、あるわけないでしょうが。不況の時には株価は本格的に下がるんだヨ
これだけ燃え上がった以上、これはまぎれもなく「火事」である
何だか、今回のFRBは引き締めるにしても下手くそだネエ
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