金曜夜にさる企業の責任者の人と食事をして面白い話しをいくつかした。その他にいくつかアネクドートを思いつきもしたので、今日の日曜はお話し集としたい。
- こちら国際局、国際局・・・
スイッチをつけても雑音が激しくてガアガアという音がして、それでも耳をすますと流れている音楽が分かる。昔はこのラジオが深夜の友人、そして唯一の友人だったのだ・・・と、これは「壊れかけのラジオ」で徳永英明の世界。
ここに1台のラジオがある。何の変哲もない。つけると実に澄み切った美しい音が響く。素晴らしい!
何日か聴いているとどうも周りの人と話しが合わない。どうもこのラジオ、卒業シーズンということもあるのか「旅立ちの日に」が電波で流れると、ラジオの中のCPUが自動変調してジョン・レノンのImagineをアンプに送る。きこえてくるのはイマジンになる。かと思うと、「蛍の光」が流れてくると、プレスリーのAre you lonesome tonight?(今夜はひとりかい?)になる。そんな仕掛けになっていたのですな。
メーカーに電話をかけてなぜこんな作り方にしたのか詰問した。
「やっぱり実際に流れている曲を聴きたいんですよね・・・」
「皆様、この国ではそうおっしゃいますが、世界中ではこんな時にはこんな音楽をきいているわけですので、しばらくお使いになってみてはいかがでしょうか?」
「曲の選定とかは、どこが決めていますか?」
「国際局でございます」
で、理屈は納得したのだが、実際に流れている電波通りに曲を流さないなんて、「要するに、壊れたラジオじゃないか」。
その夜から壊れかけのラジオに再び耳を傾けたことは言うまでもない。
- 組織化と効率化の功罪
「千と千尋の神隠し」を観た人は多い。私も何度みたかしれない。みた人は覚えているだろう。
釜爺が風呂を焚いている。その回りでは無数の真っ黒黒助というか、黒い煤っこが一人(一匹)1個の石炭(でしょう)をもって、釜で燃えている火に運んでは投げ入れている。
「手を出すなら最後までやれ」台詞はこうだったか・・・このシーンを覚えていることと思う。
組織化というテーマを考えるのに好都合な素材だと気がついたのは随分前だ。映画では煤っこが一人一人重い石炭を歩いて運んで順番に投げ入れている。これをバケツリレーにしても同じことだ。もちろん力のある煤っこも、力の弱い煤っこもいるだろうから、リレー式にすると力持ちは力を発揮できない。しかし、普段の経験を思い出すまでもなく、ここはバケツリレーにすれば、一人一人が持って運ぶのと同じスピードで石炭を投げ入れることができるはずだ。
働いている煤っこの人数は同じ。1分当たり釜に投げ入れる石炭の数は同じ。労働生産性はバケツリレーだろうと、自由行動だろうと、変わらない。
しかしどちらの方式にするかで違いは出てくる。一人一人が運んでいると一日が終わったらクタクタだろう。明日のことは考えずに寝るだけだ。リレー式にすると疲労度が違う。それほど疲れていないので、今度のことを考えられる。一人を外して釜の前におき、投げる方向を指示するようにするといい、力の弱い煤っこが何人か固まるとそこでネックができる。固まらないように並び順を変えてみる。現場では「トヨタ流改善」が進むに違いない。
「これが組織化だと思うんですよ」
「経済学者ですとね、力のある人は出来高払いにして多くの報酬を得る。それがインセンティブになる。だから自由に労働できるように放任しておけばいいんです。こういうでしょうね。しかしそれが正しくない時もある。市場にするか、組織にするかという問題はこれなんですよね。」
「バケツリレーにするには並び方を決めたりする人がいるし、一人が倒れたらどうするかをあらかじめマニュアル化しておかないといけない。管理者がいります。」
「システムを作る、組織で解決することのメリットはここにありますよ。」
私はこんな話しを食事の相手にした。その人は企業を管理する責任を負っている。私の話しは感覚に合わない様子が見てとれる。理屈はそうだが、本当にそれでいいのだろうか?それから何時間も話しが続いたのはいうまでもない。
その人は船乗りの道を経て、いまは貿易商社を運営している。
- おすすめ美術ブログ
人様の絵でやりすごすのは恥ずかしいがこんな時もこれから作ってみたい。ご本人が「貧乏だ、貧乏だ」とおっしゃるので、うちのカミさんには「貧乏画家」で通っているが、菊池理さんという銀座の画廊と作品を取引している一流画家である。
この絵は私が愛読しているイッキ描きブログから頂いた。仏教、歴史、美術など話題は広く、面白い人である。
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