2010年4月15日。何年も可愛がっていた白い文鳥が死んだ。
2010年5月15日。私は白い文鳥を絵に描いて飾った。いい出来映えの小さな絵だ。
2011年1月25日。誕生日。私は降る雪の中を歩いて家に帰っていた。蝶の形をした雪を見つけたのは小枝をはらおうとして手を上げたときだ。はじめて見る柔らかい羽のような雪はすぐにとけ、手の上に小さな芯のようなものが残った。氷に違いないその芯は、いつまでもとけず、街灯の光の下で輝いた。部屋に戻ってルーペでみると、1mmもないその粒は拡大されて、透明な小鳥になった。その透明な粒子をむかし西表島で集めた星の砂が入っている小瓶に落とした。寝室の壁に飾っている絵が真っ白なキャンバスに戻っていた。
2011年4月15日。絵の消えたキャンバスの上に死んだ文鳥の絵をまた描き始めた。
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