結局、ドイツ・フランス間の溝は21世紀の今もなお在ることはあるのだネエ、と最近感じることが多い。
対ロシア石油禁輸措置をアメリカ主導で進めているという報道だ。ロシア産原油を旧・西側市場から締め出してしまえば確かにロシアには打撃だ。米政府は欧州にも同調させようと英仏と話している模様だ。
しかし、SWIFT排除措置の中でロシア産天然ガス輸入は(当面)「お目こぼし」してもらいつつ、「エネルギー政策の再構築」を早くやれとプレッシャを受けている肩身の狭いドイツに、今度はロシア産石油も買うな、と。
これではまるで
ロシアと仲良くしたお前たちドイツが悪い!少しは辛い目にあって反省しろ!!
東アジアの外野から観ていると、旧連合軍がこう言っているのと同じなように思えたりする。なにやら英米にドイツがシバカレテイル、こんな感覚がある。
EUを隠れ蓑にして旨い汁ばかりすすりやがって・・・
と言いたいのか、と。ホント、旧東ドイツ出身であったメルケルさんが引退すると、早速こうなってしまう。
そしてこの感覚は、ここ日本という国のポジションを考えても、他人事ではない。結局、旧・敗戦国はこんな時にやっぱりツケを払うんですネ、と。こんなロジックがその内に強烈にきいて来るような懸念もある。
国連の組織改革が、何よりも重要だと考える次第。
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アメリカはシェールガス、シェールオイルを増産すれば何の問題もない。イギリスも北海油田を持っていて「苦しゅうない」だろう。フランスは「原発重視」だ。英米は寧ろ対ロシア禁輸でビジネスを拡大できる。ドイツは、陣営から言えばアメリカ、イギリスからエネルギーを調達するべきなのを、LNGは高価だと文句をつけて、こともあろうにロシアからパイプライン経由で安価なガスを調達してきた。しかも調達を増やそうとしている。怪しからんという感情が英米のホンネにあってもおかしくはない。
この亀裂が深刻になっていけば、最終的にはドイツがEUには(留まれるなら)留まる一方で、ソ連・ロシア敵視で発足したNATOからは脱退。ロシアとは(ポーランド、及び親ロシアのベラルーシを語らって)
独波ロべ四国不可侵条約を締結する
こんな方向へ進んでいくかもネエ・・・だって、NATOに入っている事で却って怖いことが分かったでしょう、と。そういうことである。
ドイツ、ポーランドがそうすると、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアもNATOから脱退してこの新体制に追随する。出来るのは《中欧共同平和機構》でそれに何とロシアも加盟する!これは吃驚だ!イヤ、ロシアは核を持っているから、ヤハリNATOとの手前、「平和機構」へは加入するのは無理かも。しかし、この方が西欧、中欧、ロシアと並んで、却って<皆さん安心>でしょう、と。それにロ軍基地はロ国内にのみ限定するなら西欧のフランス辺りもウェルカムだろう。これ要するに、ハプスブルグ帝国ありし時代からずっと続いて来たヨーロッパ大陸のパワーバランスに戻るということでもある。
西が安定すると、ロシアは東へ向かい、中国はそれを嫌うのだが、もうそこまで面倒は見切れない・・・・
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やはり
ヨーロッパの平和にアメリカは招かれざる客である。
米ソ対立がいまは米ロ対立になっているのだが、ヨーロッパを戦場にするな、対立するなら極東のベーリング海峡越しで対立しろ、と。結局、こういう事かネエ、と。
所詮、地元の人々は勝手なのである。戦乱なく毎日を送ることが最も大事なのである。ヨーロッパ人がホンネで「共有するべき価値観」を信じているかなど、疑わしい限りだ。そもそもヨーロッパ人はキリスト教ですらプロテスタントを誕生させて「宗教改革」をやったんですぜ。「価値観」なんて、「平和な世を創る」という目的の前では枝葉末節でしょう、と。
理念や主義などは言葉の世界。不便なら変えればイイし、なくても暮らしには困らない。
戦争と平和は目の前の現実の世界である。生きるか死ぬかの問題である。
そう考えるこの冬である。
亡霊のような《独ソ不可侵条約》が現代的な衣裳をまとって蘇る確率はゼロではない。その昔、ヒトラーは独ソ不可侵条約を破り「バルバロッサ作戦」を発動したことで最終的敗戦への道を歩むことになった。今度はもう破約はないだろう。
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