2022年3月9日水曜日

ホンノ一言: (長期的には)中国の一人勝ちになっていくようで・・・

こんなことを言う政治家がいるとする:

国民が楽に暮らせて、毎日を楽しく送れる国にする。これが政治家の仕事で、これ以外に政治家の為すべき事はない。

外交も防衛も全てこれに行きつく・・・

もし、上の「国民」を「アメリカ人」に置き換えると、意味は"America First"になるので、トランプ前大統領の言であるとしても十分通じるかもしれない。

で、実は小生の政治観は上の表現に凝縮されているのだ、な。古代中国以来の《鼓腹撃壌》の政治哲学に通じる所がある。政治が相手にするのは《現実》で、政治家は《言葉》におぼれてはならない。

なので、

日本時間の8日夕方、中国の習近平国家主席は、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相とオンラインで会談しました。この中で習主席は、「ドイツやフランスなどと意思疎通を続け、各当事者の必要に応じて国際社会とともに良い役割を発揮していきたい」と述べました。 これまで中国はロシアとウクライナの間に入って直接仲介役を担うことには消極的な姿勢を示してきましたが、国際的な枠組みの下では仲介の一翼を担う可能性に言及したものです。 また、ウクライナへのさらなる人道支援の必要性を訴える一方で、アメリカなどによるロシアに対する制裁については「世界の金融やエネルギー供給、サプライチェーンなどの安定に衝撃を与え、世界経済の回復の妨げとなる」と述べ、反対する考えを強調しました。

URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/4500fc10ff74d026b25bebad2ff647c199b4152e

Source:Yahoo!ニュース、3/8(火) 21:43配信

Original: 日テレNEWS

正直なところ、小生は上のような政治姿勢に全面的に賛成である。

少なくとも、世界が「返り血」を浴び続けてもロシアへの経済制裁を断固徹底すべしというアメリカの戦略は<アホ>だと考えている。 

どうやらアメリカ単独でロシア産石油の禁輸に踏み切る模様で、欧州も同調するよう働きかけてみたものの、イギリスはともかく、フランス、ドイツは『とてもじゃないが着いて行けない』となったようである。

思うのだが、今回の戦争の根本原因はNATOが対ロシア(ソ連)敵対視の上に立って組織化されている所にある。ウクライナがヨーロッパとの交流を深めたいという気持ちを踏みにじる権利がロシアにないことは分かりきっている。しかし、ウクライナ国内に米軍基地が出来て核兵器が配備され、ミサイルはロシアの方向を向く、などという見込みになればロシアはそれは危機感を抱くだろう、と。例えば、もしも韓国が米国との軍事同盟を解消し、親中路線に舵を切り、なんと釜山には中国海軍の軍港ができて、南岸沿いには中国・人民解放軍の基地が出来て、核が配備され、ミサイルは沖縄、西日本、東日本、北海道に向けられる・・・という見通しになれば、これを推し進める韓国政治に介入しなければならないと、日本、そしてアメリカ政府も考えるのではないかと想像されるのだ。状況は似ているだろう。

故に、今になってから和平協議を行うなら、ロシアとは侵攻前に協議をし、意思疎通に努力するべきだった。それをせず、かといって参戦もせず、軍事支援を無期限・無際限に行うのは、下策である。もしも中国が対抗してロシアに軍事支援を開始すれば、アメリカはどうする計画なのだろう。中国の出方を読み誤った朝鮮戦争時の失敗をアメリカは再び繰り返すかもしれない。

要するに、

ウクライナがNATOに加盟するとしても、ウクライナ国内に核兵器は配備しない。基地を設けるとしても米軍が参加することはない・・・等々

こういう軍事的緊張を緩和するための何らかの「NATO‐ロシア‐ウクライナ覚え書」を交換し、更に「ロシア‐ウクライナ不可侵条約」を締結しておれば、ウクライナがEUと親密になりたいと言うその事だけで、ロシア側が巨額の経済的コストを負担しても軍事侵攻を選ぶという政治的動機はかなり弱まっていたであろう。

有名な名句だが

戦争は政治の延長である

と述べたのはクラウゼヴィッツである。国連は戦争を否定しているが、しかし戦争に打って出るかどうかが政治的決断の一つであるという現実は昔と変わらず目の前にある。

今回、ロシアのウクライナ侵攻を現に招いてしまったこと自体が、ロシア、欧米、ウクライナを含む関係国による《政治的失敗》であるのは確なことだ。

経済制裁の拡大、ウクライナへの軍事支援の拡大は、最初の政治的失敗をリカバーするための努力に過ぎない。そして、これ自体が更なる政治的失敗になりつつある。

上に引用した習近平の発言は政治家が当然持つべき真っ当な見方であるように小生には思える。<長期的に>ロシアは確かに打撃を被るだろうが、同時に<長期的>にはアメリカを断固支持する勢力も時間と共に弱体化していくのではないかと予想する。

 


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