前稿で取り上げた悲惨な殺傷事件の加害者がともに「ひきこもり」を続けている人物であったことから、「ひきこもり者」への一般的なネガティブ・イメージに結び付き、それに反対する意見が表明されるなど、一連の論争が発展しているところだ。
今日は一言メモ:
殺傷事件については経年別、地域別にデータが蓄積されているはずである。なので、事件発生時の加害者の属性ごとに犯罪行為を実行する条件付確率を算出することは容易であるはずだ。また、その他の属性と併せて、犯罪行為要因分析を行うことも決して無駄ではないだろう。
一言で殺傷事件とはいえ、酒に酔った末の暴行が絡む事件、自動車運転時の死傷事故、近親者間の事件等々、多数のタイプに分けられる。そして、各タイプについて統計的に当てはまる関係も異なるだろう。
おそらく関係分野の専門家は相当の分析を蓄積しているのだと推測する。これらの結果に基づいて、何らかの「ネクスト・アクション」が提案されてくるなら、これもまた学問の社会的意義というもので、問題解決に向けた社会的なPDCAサイクルが機能している一例になる。
「引きこもり」全般に対するネガティブ・イメージには賛成できない。とはいえ、アルコール摂取量が増えたり、喫煙をしたり、運動不足であったり、果てはギャンブルにのめりこんだり、ドラッグを用いたりと、実証的な意味でネガティブな効果が確認されている「生活習慣」も幾つかあるわけである。「引きこもり行動」がマイナスの結果を誘発する傾向が統計的に有意であると判定されれば、「その種の行為は望ましくない」というネガティブなイメージをもつとしても、それは科学的な結論として適切である。
現段階では「ネガティブなイメージ」と言っても、それはまだ印象的なものであり、非科学的である。
念のために加筆しておく。咳をするから発熱するわけではない。真の原因として風邪か、インフルエンザなどの罹患があり、その真因から咳や発熱という諸症状が起きるのである。引きこもりやギャンブルへの依存が原因となって何かの犯罪行為を実行するに至るという因果関係はないのだと思う。何かの原因が別にあって、その真因が望ましくない生活習慣や社会的に許されない行動をその人にとらせるのだと小生は思っている。とはいえ、咳をすれば病気が疑われ要注意であるのと同じロジックで、「ひきこもり」は要注意な生活状態である。こんな結論がデータから確認されても小生は驚かない。
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