2019年6月27日木曜日

日韓対立は愚かな「平和ボケ」だ

米波対立でホルムズ海峡が再び危機に陥る中、日本と中国、韓国は一層明瞭に経済面で利害を共有するようになりつつある。アメリカはシェールオイル、ガスの立ち上がりで、エネルギー自給が(まずまず)可能である。アメリカのコストで中東地域の安全を維持する動機は薄れつつあるようにも見える ― 「もうどうでもよい」というのは言い過ぎだろうが。

このところ国益を落ち着いて計算できるだけのゆとりを持てるようになった日中関係は別として、日韓は「お話にならない」状況だ。

本来は、日韓両国は単独では世界に対して十分な影響力を持てず、かつ地政学的には非常に多くの分野で利害を共有する。歴史的にも長い交流がある。幾つかの不幸な出来事、紛争もあったが、同じようなことはロシアとポーランド、ドイツとポーランド、フランスとドイツ、イギリスとアイルランド等々、無数に数えられる。歴史問題が残っているのはそれだけ長く交流してきたことの裏返しだ。経済面での相互関係を改めて指摘する必要はないだろう。競合する分野もあれば補完関係もある。

本来なら、日韓両国が「結託」して「共同利益」を追求する戦略を実行すれば、大規模な国際的問題を有利な形で解決することも可能なはずである。

ところが最も有利な戦略を日韓両国とも選択できない。いうまでもなく「歴史問題」が主たる原因だ。

そうすれば得になる事は分かっている。助かることも分かっている。もっと強くなることも分かっている。しかし、お前とだけは協力しない。真っ平御免だ。

要するにそういうことなのだろう。

馬鹿なことをやっている。

共同利益を最大化する戦略がうまく行かない原因は、山分けルールが確定しないためである。利益山分けの段階では、日韓は「タカハトゲーム」をプレーする。どちらが上か、どちらが片方のいう事を聞くかが決まるまで状況は均衡しない。互いにイーブン、どちらが上でも下でもないという状況は実は戦略的に不安定である。

不安定なゲームを安定化させるには長期のゲームで考えることだ。そのためには「契約」がいる。契約には「合意」と「違約した場合のペナルティ」が必要だ。日韓基本条約に違約した韓国に怒る日本には一定の合理性がある。しかし、他方で韓国には韓国で日韓基本条約締結以来続いている現行の外交枠組み全体に「もう嫌だ」という感情が潜伏しているのだろう。怒りも嫌悪もどちらも感情に過ぎず非合理的な選択を平気でする。しかし所詮は損になることは長続きできない。持続可能ではないのだ。

日韓両国とも十分なほどに損をして初めてオーソドックスな戦略に戻るだろう ― 安倍・トランプ蜜月でリカバーできると言うのは「まやかし」である。

まったく愚かな外交だと思う。

日米安保、韓米安保体制が、その馬鹿な選択を背後で支えている。この理屈も認められるのではないか。

結局、日韓ともアメリカに依存した平和ボケである。平和ボケといってまずいなら「モラル・ハザード」、「道徳的退廃」、「鈍感」、「傲慢」、etc.……言葉ならいくらでもある。政治の機能不全が露見している ― 実は、日韓関係だけではないと思うが。


・・・今日の投稿はかなりバランスが悪いか?本当はもっと低レベルかもしれない。この点だけ断り書きということで。


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